樹木の恵みと人間の歴史 W.B.Logan

萌芽更新

 木は切ると終わりではなく、さらに生えて来る。

 萌芽更新は、枝の剪定で木の成長をさらに活性化し、人間も木も豊かになるという伝統的な技術で、その復活を目指す樹医のレポートです。

 木の枝の剪定は、庭を持つ者の日常の仕事の一つです。私もその一人ですが、何がしか木を切る事自体に、罪悪感が。でもかえって適切な剪定が、樹木にも周囲の生き物にも大切な事が分かり、剪定に少しpositiveになれました。

著者は、New Yorkのメトロポリタン美術館お抱えの樹医です。

剪定には、伝えられた技術があり、どの枝をどのように切るかで樹木の力を最大限に引き出せるのですが、その技術は世界中で失われてしまっています。それを復活させようと世界各地でいろいろな試みが行われていて、著者はアフリカから北欧、世界中のその現場を訪れ、

人間と樹木の永遠に続く関係を取り戻そうとする人達の活動を報告しています。

日本はその技術を残す唯一の国で、最後の章は日本の里山保全の活動と文化が紹介されています。奈良の若草山の草焼きも植物再生の伝統行事として、報告されています。焼き畑が全て森を破壊する行為ではなく、森を再生するためのものであるのも私には驚きでした。

要は木の切り方次第で、木はさらに豊かに茂るわけで、切れば無くなるという砂漠化は

私たちの樹木への考え方が変わってしまってからなのです。

この本を読んでから、私の中で剪定をする時の気持ちが変わりました。枝を切っても生えて来るというのは、動物ではありえませんが、この再生能力はこれからの世界でさらに着目しなければならない所です。

樹木の名前など知らないと言う人には、沢山の木の名前が出て来るこの本は読みづらいかもしれません。特に他所の国の木ではそうです。例えばハンノキと言われてもピントは来ないと思います。それでも、内容自体は、衝撃的です。植物と人間の交流の知恵が散りばめられて

います。

何回も読んで行くうちに、きっと森が自分の中に入って来るかと思います。私もまだ一回目ですので、まだちょっとだけですね。植物への尊敬心が高まります。